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コラム
公開日: 2017-01-05
モルタル下地の外壁を塗装する場合の注意点
モルタル外壁の塗り替えの際は、クラック(ひび割れ)の「動き」に追従できる弾性塗料を使います。これには、単層弾性塗料と複層弾性塗料があります。
モルタル塗装時に注意すべき点として、さまざまな下地調整の必要性、スタッコ外壁か否か、吸い込み抑制のため微弾性フィラーを使うかどうか、などがあります。
モルタル用のクリア塗料を使うことで、旧塗膜のキズが目立たなくなり、光沢もよみがえります。
モルタルの塗り替え塗装
モルタルは、年月が経つとクラック(ひび割れ)があちこちに生じやすい性質があることは、以前お話ししました。
そのため、塗り替えの際は、まずクラックを埋めますが、将来クラックのあった部分が「動く」可能性に備える必要があります。確実性の高い対策が、弾力性のある塗装を使うことです。弾力があればクラックの動きに追従して、新たなクラックの形成を抑えることができるからです。
塗料メーカーから、モルタル用の弾性塗料が発売されており、単層弾性塗料、複層弾性塗料の別があります。塗料の種類に応じて施工手順も異なります(ちなみに一般的な塗料は、硬質塗料といいます)。
●単層弾性塗料(日本ペイントのDANシリコンセラ等)
下塗り(シーラーかフィラー使用)をした後に、単層弾性塗料の中塗り(1回目)、そして同じ塗料で上塗り(2回目)という3工程で完了します。
●複層弾性塗料(エスケー化研のレナエクセレントA等)
単層弾性塗料よりも工程が多く、手間暇と工賃がかかるという難点がありますが、弾性の保持年数は長くなります。最後に別種の上塗り用塗料(エスケー化研の水性弾性セラミシリコン等)を塗るため、塗膜の寿命は上塗り塗料の寿命に準じます。
例として、レナエクセレントAと水性弾性セラミシリコンを使用して、吹放し仕上げをする場合ですと、シーラーで下塗りした後で、レナエクセレントAを基層塗り、模様塗りと2回に分けて塗ります。最後に水性弾性セラミシリコンを塗ります(1~2回)。
ジョリパット外壁の場合、ジョリパットフレッシュという専用塗料があり、シーラー(微弾性)を塗布した後にジョリパットフレッシュを塗り、最後に水性アクリルシリコン塗料を2度塗りします。
●カラーモルタル
塗料を使って塗膜を塗るというやり方とは別に、モルタルそのものを着色して塗りつける、カラーモルタルというものもあります。これは、モルタル(セメント+細骨材+水)に粉末顔料を最大5%混合して作ります。
カラーモルタルは、仕上げてからの時間経過とともに硬化して色が薄くなるので、希望の色を出すには、事前に塗りテストを行っておく必要があります。
施工手順は、古い塗膜があれば除去したうえで、何も塗布されていない下地のモルタルにプライマーを塗布します。これが乾燥したら、カラーモルタルをコテ塗りします。汚れ防止のため、この上に上塗りシーラー(トップコート)を塗布することがあります。
モルタル塗装の主な注意点
●下地調整
どのような塗料を使うのであれ、下塗り前の段階で行う下地調整は欠かせません。サッシ周囲のシーリングの打ち替え、壁面クラックのVカット補修などがありますが、これを省略すると塗り替えしても、すぐに問題が出てきます。
●スタッコの塗り替え
スタッコ外壁に塗装する場合、弾性塗料を使うと塗膜が膨れる恐れがあります。特に劣化したスタッコ外壁だと下塗りが付着しにくくなるため、高圧洗浄が必要です。
●吸い込み
モルタルは塗料の「吸い込み」があるため、吸い込みを抑えるシーラーの塗布が欠かせません。それをしないと、塗りつけた塗料を吸い込んで、色むらの原因となります。
シーラーに似た材料で、微弾性フィラーというものがあります。これは微細なクラックを埋めつつ、シーラーと同じ効果を発揮するものです。施工の際は、通常のシーラーでよいか、微弾性フィラーを使うのかを検討します。
モルタル用クリア塗料について
透明なクリア塗料は、サイディング向けだと思われる方も多いかもしれませんが、モルタル用のクリア塗料もあります。これを使うことで、旧塗膜のキズが目立たなくなり、光沢もよみがえります。
例えば、「SKカラークリヤー」(エスケー化研)は、特殊なアクリル樹脂をバインダーとした一液タイプのクリア仕上げ材です。色付きと無色があり、モルタル下地を消さずに美観を回復させることができます。
耐候性、耐アルカリ性にすぐれ、汚れがつきにくく、エフロレッセンス防止にも効果があります。
これに性能が似た商品に「タイルラック水性トップつや一番」(日本ペイント)があります。
これらは、ロングセラーではありますが、アクリル樹脂を主成分とするため、寿命が短いのが難点です(~8年)。
アクリル樹脂系の塗料は、すでにあまり出番がなくなりつつあり、別の合成樹脂を配合した塗料に、とって代わられつつあります。
寿命の短さを克服した商品としては、例えば「ファインシリコンフレッシュシリーズ」(日本ペイント)があります。これは、シリコン樹脂を主成分とするため、高耐候性・超低汚染性を発揮でき、数々の現場で上塗り用として活用されています。
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