コラム

 公開日: 2014-08-23  最終更新日: 2015-06-15

理科講義 僕たちは、どこから来たのか。~その4~

さて、前回は、200万年前くらいのご先祖様、「アウストラロピテクス」の話をしたね。
彼らの脳容積は現在のチンパンジー並み。だけど、当時すでに居たチンパンジーや
ゴリラとは決定的な違いがあった。それは、「二足歩行」を行っていた、という点
なんだ。つまり僕らと同じように「いつも2本足で立って歩いていた」ということさ。
チンパンジーもゴリラも、いや、熊だって、レッサーパンダの風太君だって、たまに
立つことはある。しかし、常時立ち上がって2足歩行している動物は人間しかい
ないんだよ。つまり彼らは「人間の体」に「チンパンジー並の頭」を持った種族だっ
たんだ。この、「常時直立2足歩行」という点で、彼らを人類と呼ぶ学者は多い
んだよ。つまり、人類は、「頭」から進化したのではなく、「足」から進化が始まった
ようなのだ。だとしたら、なんで立ち上がる必要があったのか・・・・
これにはいろんな説がある。サバンナではできるだけ背が高いほうが遠くの敵や
獲物を発見しやすいので立ち上がる必要があった、とか、2足歩行に移行した
ことで、長距離の移動が可能になって狩猟が効率的になったとか、前足で道具
を持っているうちに、それが「手」になって、後ろ足だけで歩くようになった、とか、
実は水辺で生活していて、半分水に浸かっているうちに立てるようになったとか、
本当にいろいろだ。だが、まだ決定打はないよ。ただし、これだけはいえる。
もし、4足歩行を続けていたら、人類の脳小さいままだった、ということだ。
下図を見てほしい。

4足歩行と直立2足歩行
4足歩行の動物にとって、頭だけが異常にでかいことがどれだけ不安定なものか
わかるだろう。バランスを崩して前のめりになってしまうんだね。
この点、直立2足歩行は、バランス感覚さえあれば、頭が大きくても安定してい
るね。よく、水が乏しい国で華奢な女の人が大きな水瓶を頭の上に載せて運ん
でいるけど、あれはこういった意味があるんだね。

水をくむ女性

つまり、人類のご先祖様たちは、何かの理由でアフリカのサバンナで立ち上がって
直立2足歩行を始めた。そしてこのことが、脳を大きくする準備段階となり、
その後はものすごい勢いで脳の増大が続いていった、ということになる。う~ん、
話がうまく出来過ぎている。だけど、化石を見る限りそうとしか考えられないん
だよ。さて、この話のきっかけとなったのは、国立科学博物館の特別展示
「グレートジャーニー人類の旅」だったね。その入り口に展示されていたのはこれ
だった。

グレートジャーニー 人類のたび1

360万年前のアフリカの沼地でのアファール猿人の足跡だ。アファール猿人とは
アウストラロピテクスの一種だよ。ここには26センチの大きな足跡と18センチの
小さな足跡が並んでついている。しかし、よく見ると足跡はもう一つあったんだ。
26センチの足跡の中に、21センチの足跡が重なってついていたんだ。つまり
ここには3人が存在していたことになる。で、足跡の主たちの、こんな復元像が
できあがったんだ。

家族

家族のリーダーとしての尊厳を持ちながらも優しく家族を率いていく父親、そして
その父に手を引かれてやんちゃそうについていく子供。さらにその後を、子供を
見守るように付き従う母親。母親はご主人を信頼しきっていたのだろう。
足を沼地に取られないように、ご主人の足跡をなぞってついていったのだ。
なんか、この復元像を見た時、僕は胸が熱くなった。チンパンジーとほぼ同じ脳
しか持たない彼らが、いつ獣に食われるかわからないようなものすごい過酷な環境
のなかで、家族の絆を大切にしながら精一杯生きていたんだなと。
そしてその家族への思いが、その後、僕達まで360万年続く人類繁栄への
原動力だったんだ。
だが、その後、僕は考え込んでしまった。僕らは、彼らの3倍の大きさの脳を持つ
ようにはなったが、はたして3倍幸福になったんだろうか?複雑で高度な言葉を
操るようにはなったが、あの水辺を歩いていた、おそらくまだ言葉を持たない彼ら
ほど、家族で心を通じ合わせる事ができているのだろうか。僕は展示場で考え
込んでしまって、しばしそこから動けなくなってしまったのでした・・・・・

さて、このアウストラロピテクスの前はどうだったか、というと・・・・
ラミドゥス猿人(440万年前)

ラミダス猿人
やトゥーマイ猿人(700万年前)とか、化石の発掘は進んでいます。もうこの
くらい前だと、彼らはチンパンジーより脳が小さい。だけど、両者とも骨格から
確実に直立2足歩行をしていた事がわかっています。つまり最古の人類なの
ではないかとも言われているんです。ただ、まだまだわからないことがいっぱい
あって、仮説部分も多いのです。だから、今回はほぼ定説の範囲、アウストラロ
ピテクスのアファール猿人のところまでの話で、このシリーズ、いったん終わりに
しましょう。もともと、国立科学博物館の特別展示「グレートジャーニー人類
の旅」から始まった話だからね。実はこの4回で話した「人類」の話なんか、
地球の歴史から比べれば、ほんのほんのほんの一瞬だ。ホモ・サピエンスの時代
なんか、生命の歴史の4万分の1だよ!最古の人類をトゥーマイ猿人だとして、
人類の歴史は700万年。それだって、生命の歴史の570分の1だよ!
だからこのまま「お母さんのお母さんの・・・・」を続けて「恐竜時代のご先祖
様は」とか「三葉虫の時代のご先祖様は」授業するのはすっごく楽しいんだけど、
何年かかかってしまいそう。というわけで、それはまたいつかの機会のお楽しみに。

              僕たちはどこから来たのか。とりあえずいったん終了
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