コラム

 公開日: 2017-04-18 

一つの不動産には複数の価格が存在します





2回目のコラムで、4つの地価について述べました。

時価、公示価格(基準価格)、相続税路線価、固定資産税評価額の4つですね。
これは、時価が100であると、公示価格(基準価格)100、相続税路線価80、固定資産税評価70という
一定の目安があることを述べました。(あくまで目安に過ぎませんが)

さて、今日のテーマも価格のことですが、不動産にはもっと沢山の価格が存在致します。

まず、概念的には




という4つの価格の種類がございます。
ここでは、不動産鑑定評価基準の解説をすることが目的ではないので、要点しか申し上げませんが、いわゆる一般的な市場価格というイメージが「正常価格」と呼ばれているものです。
殆どがこの価格を前提として取引されているため、まずは「正常価格」だけを覚えておいて下さい。

また、価格を出すための方法が主に3つありまして、その手法それぞれに価格の名前がつけられています。




この3つは原則的に併用すべきものなので、これは3つとも覚えておいて下さい。
この他にも補助的な手法がありますが、今回は基本的な上記3つを覚えて頂ければと思います。

要するに、「正常価格(マーケットヴァリュー)」を出すのが不動産評価の殆どの目的で、その正常価格を出すために主に3つの手法を併用し、それぞれの手法で求められた価格を比準価格(取引事例比較法)、積算価格(原価法)、収益価格(収益還元法)と呼びます。
なお、物件によっては一つ又は、二つの手法だけしか適用できないケースもございます。

また、それぞれの手法から求めた価格の総称を試算価格と言い、各試算価格を検討したり、調整したりして、最終的な正常価格(結論)を決定するというプロセスになります。

では、3つの手法をざっと紹介します。
一つ一つを掘り下げるのは、また次回以降にいたしますね。

取引事例比較法による比準価格

主に土地やマンション(一室)の場合に適用できます。
近隣等で発生した類似の事例から比準(色々な要因を吟味して比較する)して求める価格です。
事例の選び方が重要であり、取引時点が近いもの、売急ぎや買進みの事情がないこと、似たようなエリアにあること、規模や形、マンションで言えば階層やタイプ、築年数が似ているもの等に注意して事例を選びます。
通常事例は3~5つくらい選びます。

原価法による積算価格

この手法を簡単に述べるのは難しいのですが、中古戸建をイメージして頂くと分かりやすいと思います。
まず、土地部分と建物部分で別々に計算致します。
土地については、既成市街地の宅地は原価法の適用が難しいので、この部分は取引事例比較法を使います。
建物については、原価(価格時点において同じ建物を新築すると想定した場合の原価)から築年数や管理状態、設備等の陳腐化等を考慮して減価修正を行い、建物部分の積算価格を求めます。
式で言うと、 
土地の比準価格+(建物原価-減価額)=一体としての価格
を出しますが、この一体の価格を把握した後、一体としての増減価があるかどうかを検討し、一体としての積算価格を算定します。

収益還元法による収益価格

この手法は主に投資物件では必須となる手法です。収益還元法も色々と種類がありますが、ここでは一般に使わられる直接還元法(永久還元)をまず頭に入れて頂ければと思います。
簡単に言えば、総収入から総費用を控除して純収益を求め、この純収益を還元利回りで割り戻して価格を出す方法です。
収益価格 = (総収入 ― 総費用 ) ÷ 還元利回り

ここで一つだけご注意頂きたいのが、利回りの把握です。上記の還元利回りはいわゆるネットの利回りです。
よく投資不動産なんかで表示してある利回りはグロス(粗)利回りで、このグロスの利回りは費用が考慮されていません。当然、ネットの利回りよりも大きい数字になってきます。
単純に、経費率30%の不動産ですと、10%のグロス利回りだったらネットの利回りは7%というのが、アバウトなイメージの仕方になります。
ただ、グロスの利回りも稼働率を考慮したものとそうでないものがあったりしますので、このような単純な比較は出来ませんが、イメージとして捉えて頂ければと思います。



いかがでしょうか。不動産の評価は上記の手法を併用して最終的な正常価格を求めるのが原則になっています。
その他、広い更地等を評価する場合には、マンション開発や戸建分譲を想定した「開発法による価格」というのも度々使うことがございます。

不動産の価格を求めるということは、その市場においてどのように評価されるかを念頭に、需要者分析、地域性、不動産自体のポテンシャル等、その不動産のありとあらゆる要因が含まれることになります。従って上記で述べた手法は、それらを反映させるために考慮しなければならない手法ということになります。

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